
女友達の名前を出せなくなったのは大学時代から。彼女の「誰?」に住所と写真で答えた俺
コラム
住所に込めて、書けなかった一言
乾杯のあと、あの頃のことを謝り、彼女に名前を言えなかったことも話しました。幼なじみは「これ持って写るから、送ってあげなよ」と笑いました。
まず、お店の住所を送りました。来てほしいという意味です。けれど「来て」と書けば、理由を聞かれます。式のことも両親のことも、名前を言えなかったわけも、メッセージで説明できる気がしませんでした。
続けて、招待状を持った幼なじみの1枚を送り、「心配しないで」と打ちかけて、消しました。
届いたのは、「疑ってごめん。ありがとう」。謝るべきなのは俺のほうなのに、返信を打っては消しているうちに、時間が過ぎていきました。
そして...
しばらくして店の引き戸が開き、彼女が入ってきました。
俺が紹介するより先に、幼なじみは立ち上がって名前を名乗り、頭を下げました。そして俺に向かって、「名前くらい、言えばよかったのに」と笑いました。
にぎやかな店内で切り出す話ではない気がして、俺は彼女に「今度ちゃんと話す」とだけ言いました。
別れ際、幼なじみは彼女に「式で待ってますね」と手を振りました。
彼女の家まで並んで歩くあいだ、ポケットの招待状の角が何度も指に当たりました。返信はがきの出席欄は、まだ空いたままです。
(20代男性・営業職)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)





























