
敬語は距離を置くための言葉?付き合って3年の彼を連れて行った実家で、父の態度が分からなかった
コラム
電話で返ってきた、短い答え
家に着いてすぐ、父の番号を呼び出します。
「どうして彼にだけあんな話し方なの。反対なら、はっきり言って」
少し間があって、父は言いました。
「反対はしていない。聞くことは、もう聞いてある」
食卓で聞いた話だけで、もう十分。私には、彼のことはとっくに見切った、という意味にしか聞こえませんでした。今の会社を選んだことも、彼はあんなに丁寧に話したのに。
「もういい」
通話を切ったスマホを、クッションの下に押し込みました。彼には、父に電話したことを言えないまま。
そして...
翌月、母から「また2人でいらっしゃい」とメッセージが届きました。断る理由を探しているうちに、彼のほうが先に「行こう」と返事をしてくれたのです。
玄関の父は、やはり「どうぞ、お上がりください」と敬語のまま。ただ食卓で、父は初めて彼に質問をしました。
「好きな食べ物は、何ですか」
「卵焼きです。甘いほうの」
「そうですか」
同じ返事のあと、父は母のほうを向きます。
「次は、甘いのを焼いてやってくれ」
仕事とは関係のない質問を、父が彼にしたのはそれが初めてでした。認めてもらえたのかどうかは、まだ分かりません。ただ帰り際、父が彼より先に頭を下げるのを、初めて見ました。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)






























