人事部で最終面接を長く担当してきた私、娘から聞いた婚約者の名前に覚えがあった

コラム

電話で話しきれなかった続き

2人が帰ったあと、娘から電話がかかってきました。

「どうして彼にだけあんな話し方なの。反対なら、はっきり言って」

「反対はしていない。聞くことは、もう聞いてある」

聞くべきことは8年前に聞き、合格も出してある。そう続けるつもりが、その先を言えば彼が覚えていないことまで娘に話すことになります。

「もういい」

通話はそこで切れました。画面が元の表示に戻るまで、耳から離せずにいたのです。

妻に、また2人を呼んでほしいと頼んだのは、その翌日です。事情があれど態度が悪くなってしまったことをすぐに謝りたかったのです。

そして...

翌月、玄関で「どうぞ、お上がりください」と言うところまでは、前と同じです。

食卓では会社の話はせずに、いろいろな話をしました。

「好きな食べ物は、何ですか」

「卵焼きです。甘いほうの」

「そうですか」

妻に「次は、甘いのを焼いてやってくれ」と頼むと、娘がこちらを見ていました。

帰り際、彼が頭を下げるより先に、私のほうが頭を下げていました。彼は今も、あの面接の相手が私だとは気づいていません。敬語も、まだ崩せていません。

(50代男性・人事職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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