
「うちは塾に行かせない主義なの」と言うママ友→図書館で毎週会う親子の姿に、見方が変わった
コラム
息子の塾を待つ間に座った図書館で、親子の背中が並んでいました。机の上の手書きの表が目に入ってから、あの日の言葉の聞こえ方が変わっていきます。
入塾の申込書は、ファイルに挟んだままカバンに入れていました。公園のベンチでママ友にその話をしたのは、世間話のつもりです。返ってきたのは、いつもより少し硬い声でした。
公園のベンチで返ってきた言葉
ママ友とは、息子同士が同じクラスになってからの付き合いです。すべり台の下でボールを追いかける2人を眺めながら、私はカバンからファイルを取り出しました。
「うちの子、来月から塾に通うことになって」
ママ友は申込書の塾の名前に目を落とし、少し間を置いてから言いました。
「うちは塾に行かせない主義なの」
「小さいうちから詰め込んでも、嫌いになるだけだと思うよ」
さらに、「3年生から通わせるのって、早い気がしちゃうな」とも。
責める口調ではありません。それでも、ファイルを持つ指に力が入りました。塾に行きたいと言い出したのは息子のほうで、体験授業から帰った日は、解けた問題の話を食事の間じゅう続けていたのです。
「そっか、いろいろだよね」
それだけ返してファイルをカバンに戻し、息子の名前を呼びました。
申込書の署名欄を前にして
帰ってから申込書を広げると、保護者の署名欄だけが空いていました。ペンを持ったまま、公園でのやりとりを何度もたどり直します。
詰め込んでいるつもりはありません。けれど主義とまで言われると、方針もなく周りに流されている親だと言われた気がしたのです。息子が自分で決めたことを、ベンチの上で採点されたような気分でした。
署名を済ませた申込書は、そのままポストに入れました。
それからは公園で会っても、会釈だけで済ませるようになりました。ママ友も、それ以上は話しかけてきませんでした。
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窓際の席に並ぶ2人の背中




























