
「うちは塾に行かせない主義なの」と言うママ友→図書館で毎週会う親子の姿に、見方が変わった
コラム
窓際の席に並ぶ2人の背中
息子の通う塾は、駅前の図書館の向かいにあります。授業が終わるまでの90分、図書館で待つことにしていました。
初めての日、窓際の席で見覚えのある背中を見つけました。ママ友と、その息子さんです。とっさに、窓際から離れた奥の席を選びました。
次の週も、2人は同じ席にいました。雑誌を取りに行く途中で机の横を通ると、ノートに貼られた手書きの表が見えます。マス目の半分ほどに赤い丸が並び、ママ友は赤ペンで問題集の端を指していました。こちらには気づいていないようでした。
3回目も同じ光景です。息子さんが消しゴムを動かすたび、ママ友は黙って次の問題を指さします。
塾に行かせないと聞いて、勉強にはこだわらない家なのだと思い込んでいました。机の上にあったのは、毎週積み重ねられた丸の列です。私への線引きだと受け取った言葉が、少しずつ別のものに見え始めていました。
そして...
4回目の日、ママ友のほうから私の席まで歩いてきました。
「この前は、変な言い方してごめんね」
「ううん。ここで一緒に勉強してたんだね」
「うん。うちは、このやり方が合ってるみたい」
ママ友はそれだけ言って、窓際の席へ戻っていきました。どうしてこのやり方なのかは、聞きそびれたままです。
今も、息子を塾の入り口まで送ったあとは、窓際が見える席に座ります。目が合うと、ママ友は赤ペンを持ったまま小さく手を振ってくれます。カバンの中では、塾のテキストの横に図書館の貸出カードが並んでいます。
(30代女性・事務職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)






























