
『彼女への誕生日プレゼントにしようと思っているんです』と頼まれた中古のネックレスに忍ばせた1枚のカード
ライフスタイル
受け取りの評価には、包みをそのまま渡すと書かれていました。カードが彼女の手に届いたのかどうか、取引が終了した画面の前で、私はもう知る手立てを持ちません。
売れました、の通知のすぐ下に、購入者からの長いメッセージが並んでいました。
「彼女への誕生日プレゼントに」と続いた頼みごと
出品していたのは、何年か前に買った細いチェーンのネックレスでした。小さな石が1つ付いているだけの形で、たまに使っていたものの、今の服装には合わなくなり、フリマアプリに出していました。
購入者は男性のようで、メッセージにはこうありました。
「彼女への誕生日プレゼントにしようと思っているんです。彼女がよく見ているお店で買ったことにしたいので、そのお店の包装と似た感じでラッピングしてもらえませんか。おまけもあれば、彼女が喜ぶと思います」
私は画面を閉じて、洗い物に戻りました。蛇口の水を出しながら、文面が頭の中で繰り返されました。包装紙もリボンも、代金には含まれていません。それを私が用意して、その店で買ったふりをする手伝いまでするのかと。
それ以上に引っかかったのは、彼女への贈り物を、知らない人が使っていた品で済ませようとしていることでした。
返信は短くしました。
「承知しました。できる範囲で包みます」
ネックレスの上に重ねた、彼女宛てのカード
帰り道に100円ショップへ寄り、紺色の不織布の袋と細い白のリボンを買いました。あの店の袋の色に、いちおう寄せたつもりです。
台所のテーブルでネックレスを箱に入れ、それを袋に入れリボンを結びました。結び目が斜めになり、2度結び直しました。
おまけは入れませんでした。その代わりに、名刺ほどのカードを1枚、箱の中のネックレスの上に重ねました。
「ご購入ありがとうございました!あのお店に寄せたラッピング、上手くできているでしょうか。要望されていたおまけですが、ちょうどよいものが無く、入れられませんでした。またご縁がありましたら、よろしくお願いいたします」
読み返して、これで十分だと思いました。購入者へのお礼の形をしていますが、包みを開ける人は彼ではないということを前提にした皮肉です。頼まれた包装とおまけのことが、受け取る彼女に届くように書きました。
箱をコンビニの窓口に出して、私にできることは終わりました。
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「このまま渡せそうです」で閉じた取引画面



























