
嫁が台所に立たなくなった理由を息子から聞いた日
コラム
息子夫婦の食卓が外食ばかりだと気づいたのは半年ほど前のこと。お嫁さんのためを思って伝えた言葉が、思いもよらない形で自分に返ってきました。
月に一度の日曜日
息子夫婦のマンションを訪ねるのは、月に一度の楽しみです。「元気にしてた?」とみかんを渡して中に入り、何気なく台所の冷蔵庫を開けました。ペットボトルのお茶と調味料、卵がひとつ。料理をしている気配がまるでありません。
「外食ばかりして料理してあげなよ」。お嫁さんは「すみません」と小さく頭を下げました。もう何度目かのやりとりです。帰り際に「ちゃんと食べさせてあげなさいね」と伝えると、「はい」と笑顔で頷いてくれました。でも、その笑顔がいつも少しだけ硬いことに、私はずっと気づけていなかったのです。
水曜日の電話
その週の水曜日、息子から珍しく電話がありました。「母さん、あいつに料理のこと言うのやめてくれないか」。いつになく低い声でした。
「俺が言ったんだよ。うちの母さんの味とは違うなって」。息子は続けます。「あいつ、結婚してから3ヶ月毎日台所に立ってたんだよ。母さんに教わった肉じゃがも作ってた。でも俺がそう言ったら、あいつ一度も包丁を握らなくなった」。受話器を持つ手に力が入りました。
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世界一の味

























