
恋人の分まで几帳面に分けていた僕が、過去に言われた一言から逃げられずにいた話
コラム
帰り道の電車で、僕はスマホのメモアプリを開いて、その日の会計を打ち込んでいました。彼女の分の金額を、いつものように自分の分と分けて記録します。それが2人のためになると、僕は本気で信じていたのです。
割り勘は、僕なりの誠実さだった
彼女と付き合って半年。デートのたびに、僕は会計をきっちり分けてきました。彼女が「今日は出すよ」と言ってくれても、自分の分は自分で払うと決めていました。
どちらかが多く出せば、どちらかが借りをつくる。その小さな歪みが、いつか関係をゆがめてしまう気がしていたのです。だから1円のずれもないように、金額をメモに残し続けました。
それが彼女を大切にすることだと、疑いもしませんでした。
伏せたスマホと、彼女の顔
あの記録を彼女に見られたのは、僕の部屋でのことでした。ロックもかけずにテーブルに置いていたスマホは、メモアプリが開いたままで、彼女の視線がそこへ向いたのがわかりました。
日付と金額の列、そして彼女の名前。咄嗟にスマホを伏せてしまいました。
「これ、何?」
彼女の声に、僕は取り繕うように答えました。
「君の分はきっちり分けてあるから」
さらに「損はさせたくないんだ」と重ねました。公平にしているだけだ。そう言いながら、彼女の表情がこわばっていくのが見えました。でも、なぜ自分がここまで分けることにこだわるのか、その本当の理由を、僕はまだ口にできずにいました。
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昔、お金で繋ぎ止めていると言われた

























