
彼女からの「返信はひとことにして」という縛り。俺はその短い返事に、毎回本音を詰め込んでいた
コラム
打ちかけた長い文章を、俺は何度も消しました。彼女に「ひとことにして」と言われてから、返信のたびにこの繰り返しです。短くしろと言われたはずなのに、どうして前より時間がかかっているんだろう。自分でも不思議でした。
長文しか送れなかった理由
俺はメッセージを送るとき、つい長くなってしまう人でした。ひとことで「うん」とだけ返すと、なんだか冷たく思われそうで怖い。だから予定も気持ちも理由も、ぜんぶ書いて、誤解されないように埋めていました。
正直に言うと、彼女に「長すぎて読むのが大変だよ泣。返信はひとことにして」と言われたとき、少しほっとしたんです。長い文章を、うっとうしいと思われていたかもしれない。それなら短いほうがいい。
「わかった」とだけ返しながら、その時の俺は単純にそう考えていました。
ひとことに何を込めるか
ところが、いざ短くしようとすると、これが難しいのです。「最近どう?」と聞かれて、伝えたいことは山ほどあるのに、選べるのはひとことだけ。さんざん迷って「別に」と送りました。
本当は、彼女といる時間が楽しくて毎日待ち遠しい、とまで書きかけていたのに。会いたいと送られてきたときも同じでした。長い口実を並べそうになる手を止めて、いちばん言いたいことだけを残しました。
「会う?」たったひとことに、俺なりの精いっぱいを詰め込んでいたつもりでした。
次のページへ
選びぬいた一言


























