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私の香水だけが玄関に移されていた。彼の本心がわからなくなった日

コラム

寝室のドレッサーにあるはずの香水瓶が、その日は見当たりませんでした。代わりに玄関の靴箱の上へ置かれていたのは、私がいちばん気に入っている小瓶です。彼が移したのだとすぐにわかりましたが、その理由までは見当もつきませんでした。

玄関に移された、私の香り

靴箱の上の小瓶は、置き場所が変わっても、見慣れた丸い形のままでした。ドレッサーの天板には、瓶が置かれていた丸い跡だけが残っていました。

このところ彼の口数が減っていたことと、その瓶が私の中で結びつきます。私の匂いを、彼は暮らしの場から遠ざけたかったのではないか。そんな想像だけが、勝手に膨らんでいきました。理由を聞けばいいとわかっていながら、私は瓶を元へ戻さないまま、寝室のドアを閉めました。

聞けないまま、悪いほうへ傾いていく

それから私は、彼の様子を伺うようになりました。帰宅するとまず玄関で何かをしているらしいこと、出かけるときにコートの襟元を気にしていることに気づきます。

けれど、その一つひとつを、私は都合の悪いほうに考えてしまいました。新しい相手の気配を消しているのだ、と。問いただせば済む話を、ずっと先延ばしにしていました。

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