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「最後まで読んだよ」と本を返した元恋人。挟まれた半券に傷ついた私

コラム

本に挟まっていたのは、最後に二人で行った展覧会の半券でした。しおりのように差し込まれたその紙は、本の終わりよりずっと手前で止まっていて、私はその意味を考え続けました。

テーブルに戻ってきた文庫本は、貸したときよりも角がやわらかくなっていました。返しに来た元恋人は、向かいの椅子に浅く腰かけたままです。半年付き合った相手と向き合うのに、交わす言葉はもう、ほとんど残っていませんでした。

読んだよ、と答えた元恋人

貸したのは付き合って間もない頃で、私が一番好きな小説でした。最後まで読んでほしいと、あのとき何度も頼んだ一冊です。だからカップを片づける前に、私は聞いてみました。「最後まで読んだ?」彼は短くうなずいて答えました。「最後まで読んだよ」言い終えると、彼はコーヒーに口をつけないまま先に席を立っていきました。引き止める理由も、もう見つかりませんでした。

しおりがわりの、一枚の半券

受け取った本を開いたのは、片づけをしていたときでした。中ほどのページに、薄い紙が一枚はさまっていました。最後に二人で行った展覧会の半券です。会場の名前も、入った順路の案内も、あの日のまま残っていました。彼はこれを、しおりがわりに使っていたのだとわかりました。一番好きな小説の途中に、二人の最後の一日が挟まっていたのです。

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