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「ちゃんと書けなくて、ごめん」。彼が私にくれた送別カードが下書きのままだった

コラム

転職する私を、職場のみんなが見送ってくれました。花束も、寄せ書きも、あたたかい言葉もありました。けれど、いちばん言葉がほしかった彼だけは、最後までどこかぎこちないままでした。

差し出されたのは、消し跡だらけの一枚

カードには、何度も書き直した跡がありました。読めない文字の線がいくつも重なっていて、最後の行だけが「また、」で止まっていました。

彼は目を合わせないまま、「ちゃんと書けなくて、ごめん」と言いました。仕事ではいつも丁寧な人です。だからこそ、私への一枚だけが途中で投げ出されたように見えてしまいました。

ほしかったのは、きれいな言葉じゃなかった

見送りの輪の中で、彼は少し後ろに立っていました。ほかの人たちが順番に声をかけてくれる中、彼だけは最後まで何も言いませんでした。

本当は、うまくまとまった言葉がほしかったわけではありません。ただ、何かひとこと、彼自身の気持ちを聞きたかったのだと思います。

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