
「あの場所には、来てほしくなかったんだ」俺がそう言った本当の理由
コラム
本当は別の店に誘いたかった
ポケットには、何日も前から一枚の付箋を入れてありました。書いてあるのは、二人で前に話していた小さな定食屋の名前です。送別会のあとで、そこに彼女を誘うつもりでした。大勢で乾杯するより、いつもの自販機の前のような、何でもない時間で見送ってほしかった。それだけを伝えたかったのに、俺は順番を間違えてしまいました。渡すあてをなくした付箋を、俺はずっと持て余していました。
そして...
送別会のあいだ、俺はずっと上の空でした。誰かと乾杯している場合ではなかったのです。送別会が終わって、すぐに彼女にメッセージを送りました。「送別会とは別に、二人で行きたい店があるんだ」。もっと早く、もっとちゃんと言えばよかったと何度も思いました。
しばらくして、画面が短く震えました。「行きたい。お店、教えて」。その短い返事を、俺は何度も指でたどりました。
(20代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)




























