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あの夜景を撮った場所は、俺がずっと君を連れていきたかった所だった

コラム

「考えごとしてただけだよ」。本当のことを一つも言えないまま、俺は撮ったばかりの写真を、消すこともできずにいました。

上着のポケットでは、半年前から渡せずにいる小さな箱が、歩くたびに指の先へ触れていました。

「寝るね」と送ってから、俺はこっそり家を出た

彼女に「寝るね」と送ってから、俺は家を出ました。向かったのは、付き合う前に初めて二人で来た展望台です。このところ、ささいなことで彼女とぶつかってばかりでした。このまま進んでいいのか、ポケットの箱を渡していいのか。一人で確かめたくて、夜景の見えるあの場所まで来たのです。

同期を切り忘れていたと気づいたのは、撮った後だった

景色を写真に収めた数分後、共有アルバムに同じ一枚が上がっているのに気づきました。個人用と共有用の切り替えを、戻し忘れていたのです。間もなく彼女から返信が来ました。「私もそこ、行きたかったな」。その一言を読んで、俺は撮ったばかりの写真を消すボタンを押せずにいました。連れていきたいのは、ほかでもない彼女なのに。

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