
彼女のものだけ袋にまとめた僕が、本当は伝えられずにいた理由
コラム
彼女の歯ブラシを袋に入れたとき、僕は親切のつもりでした。けれど玄関で聞かれてから、自分が彼女の居場所まで片付けようとしていたのだと気づきました。
部屋に物が増えるのが、苦手な僕
彼女が初めて部屋に泊まりに来ることになり、僕はいつもより念入りに部屋を整えました。棚の上に出しっぱなしだった書類をしまい、洗面台の周りも片付けました。気まずいところを見せたくないという、見栄もあったと思います。
彼女は歯ブラシを洗面台の端に置きました。それを見たとき、嫌だとは思いませんでした。むしろ、そこに彼女のものがあるのが少し新鮮でした。
それなのに帰る前、僕はその歯ブラシを袋に入れ、彼女のバッグの上に置きました。「忘れないで持ち帰ってね」と言えば、気遣いに聞こえると思っていました。自分でも、その言葉の奥にある気持ちを見ないようにしていたのです。
残るものが増えるのを怖がっていた
僕は、付き合っていることを家族にも友人にも話していませんでした。彼女のことが嫌だったわけではなく、むしろ大切に思っていました。ただ、いざ周りに聞かれたときに、どんなふうに説明すればいいのか、自分の中でまだ整理がついていなかったのです。関係にきちんと名前をつけることや、それを他人に伝えることに対して、どこかで責任の重さを感じていて、その覚悟が持てないまま、考えること自体を避けていました。
部屋に誰かのものが残ると、その人が生活に入ってきた証拠になる気がしました。歯ブラシ1本で大げさだと思う人もいるかもしれません。でも僕にとっては、彼女との関係に名前をつけることと同じくらい、はっきりした変化でした。
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彼女に聞かれて逃げていたこと























