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「名前は、外してください」予約に書いた彼女の名前を、俺が店で消した理由

コラム

祝うつもりで用意していた言葉は、遠慮がちな彼女の横顔の前で、ふいに重たくなりました。あの席で飲み込んだ続きを、俺はいまだに伝えられずにいます。

名前が運ばれてくる、そのタイミングで切り出すつもりでした

彼女の誕生日に、名前を入れたプレートを予約していました。本当は、その名前入りプレートが運ばれてきたタイミングで、来年は一緒に暮らさないかと切り出すつもりでした。名前が彼女の前に置かれる流れのまま、自然に口にできる気がしていたのです。

ここ最近、彼女からの連絡がめっきり減って、会う約束もやんわり先延ばしにされていました。気持ちが離れているのかもしれない、という想像は、頭の隅にずっとありました。それでも、店に向かう電車の中までは、予定どおり切り出すつもりでいました。

向かい合った瞬間、怖くなりました

席で向かい合うと、彼女はどこか遠慮がちで、目も合わせてくれませんでした。頭の隅にあった想像が、彼女の伏せたまつ毛を見た瞬間に、一気に大きくなりました。同棲を切り出して、もし彼女の心がもう離れていたら。名前まで入ったプレートを前に断られたら、もう取り返しがつかない。俺はメニューを一度閉じて、また開いて、結局何も言えませんでした。

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