
妊娠した妻のために全部やる、と決めた俺が、妻より画面を選び続けていた話
コラム
「そのスマホ、誰と何話してるの」
夕食後、皿を洗っている俺の背中に、妻の声が届きました。
「そのスマホ、誰と何話してるの」
振り向いた妻の顔は、今まで見たことがないほど硬くなっていました。俺はとっさに、スマホの画面を見せました。
「両親学級の動画、見てた」「産まれる前に、全部覚えておきたくて」
妻はうなずきました。目には、何かを我慢するような色がありました。焦げた鍋、山積みの洗濯物、妻が話しかけてくれた声を雑に返してしまった数週間。俺が「全部やる」と決めていたはずのものから、抜け落ちていた部分が並んでいました。
そして...
育児の勉強をすることと、目の前の妻を見ることは、別のことだと知りました。俺は自分が思い描く「良い父親」の準備で頭がいっぱいで、隣で今日を過ごしている妻の顔を見ていませんでした。
妻が疑ったのは、俺の浮気ではありません。俺が妻ではなく画面を選び続けた、その事実そのものでした。家事の途中でスマホを触るのはやめました。動画は妻が寝てからにしています。沐浴の手順は、まだ半分しか覚えられていません。
(30代男性・営業職)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
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