
「なんでここにいるの」相席の店で彼女に問われた俺が、責める言葉を探せなかった理由
コラム
彼女を責める言葉を探しても、俺の中には1つも浮かびませんでした。同じ店に、同じ後ろめたさで来ていた2人に、正しい側なんてなかったのです。
店員の呼ぶ声で通された席の向かいに、勉強会のはずの彼女が座っていました。
人数合わせだと言われて
その日、俺をつかまえたのは同じサークルの友人でした。相席の店に行きたいのに、どうしても一緒に行く人が見つからないから来てくれと言われたのです。
彼女がいる俺は乗り気ではありませんでした。それでも、しつこく袖を引かれているうちに、断るのも面倒になってしまいました。彼女には、家で課題を片付けると伝えました。送った文面を思い返すたびに、後ろめたさが膨らむ一方でした。
向かいに、知っている顔がいた
店に入っても、俺は会話に身が入らず、適当な受け答えをしながら、頃合いを見て抜け出すことばかり考えていました。案内役の店員に呼ばれ、次の席へ移りました。腰を下ろして向かいを見ると、そこにいたのは自分の彼女でした。
「なんでここにいるの」
彼女のその一言に、俺は「それ、こっちのセリフなんだけど」と返すのが精いっぱいでした。
次のページへ
夜風の中で、向き合った
























