
隠しごとをして親友を連れ出した俺が、戻ると彼女は消えていた
コラム
屋台の隅で、彼女が指先で触れてそのまま戻した髪飾りが、俺の頭から離れませんでした。
屋台の間を親友と駆け抜けて戻ったとき、彼女はもういませんでした。何度メッセージを送っても返らない画面に、親友と2人で立ち尽くしました。
彼女が触れた金魚の髪飾りを、覚えておいた
その日は彼女と、彼女の親友との3人で夏祭りに来ていました。屋台で彼女が金魚の形をした髪飾りに触れて、「この髪飾り、金魚みたいで可愛い」とつぶやいたのを、俺は聞き逃しませんでした。その場で買えば早いのに、俺は「今度でいいでしょ」とわざと気のない返事をしました。後で1人で買い戻して、驚かせるつもりだったのです。彼女の親友なら好みの色を知っている。そう考えて、俺はこっそり計画を立てていました。
閉まる前にと、親友の手を引いて駆け出した
彼女がかき氷を買いに離れた隙が、ちょうどよかったのです。ところが髪飾りの屋台は、店じまいを始めていました。気づけば俺は、そばにいた親友の手を引いて、人混みの中を駆け出していました。「閉まる前に戻ろう」と急かす俺に、親友は「もう、強引なんだから」と笑っています。2人でどうにか間に合って、金魚の髪飾りを手に入れました。彼女の喜ぶ顔を思い浮かべて、俺は得意になっていました。
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戻った場所に、彼女の姿はなかった

























