夫の車のカーナビに並ぶ目的地から、私と出かけた場所だけが1つも出てきませんでした

コラム

地図に出した見覚えのない住所は、2人で通った蕎麦屋の1つ手前の交差点でした。

3つとも、そういう場所でした。私は運転席に座ったまま、夫が出てくるのを待ちました。信号が変わるまでの間に開いた目的地の一覧は、行ったことのない住所から始まっていました。

並んでいたのは、私の知らない場所ばかりでした

結婚して8年、この車は夫の通勤用で、私は免許を持っていません。休みの日に出かけるときは、いつも夫が運転して、私が助手席に座ります。買い物の帰りにカーナビの履歴を見てみると、ホームセンター、夫の実家、勤め先の駐車場、そして見覚えのない住所が3つ並んでいました。前に2人で行った蕎麦屋も、その前の水族館も、名前がありません。

「この履歴、消してる?」

「たまに整理してる」

夫はウインカーを出したままそう答えて、私もそれ以上は聞きませんでした。

見覚えのない住所を、地図に出しました

2日ほど、そのことばかり考えていました。夫が風呂に入っている間に、私は鍵を持って駐車場へ降りました。運転席に座って画面をつけ、見覚えのない住所を1つずつ地図に出していきます。1つ目は、蕎麦屋の1つ手前の交差点でした。2つ目は、水族館の駐車場に入る手前の角。店そのものは残っていないのに、その手前だけが残っている。私と行った日を消して、別の日の分を残しているのだろうか。そこまで考えが進んだところで、私はシートに深く座り直しました。

  • X
  • Line