
夫の車のカーナビに並ぶ目的地から、私と出かけた場所だけが1つも出てきませんでした
コラム
助手席の物入れから出てきた紙
そこへ、夫が助手席側から乗り込んできました。
「私と行ったところだけ、ないの」
「入れてないだけだよ」
夫は前を向いたまま、助手席の物入れを開けました。出てきたのは、何度も折られて角の丸くなった紙です。広げると、交差点の名前と、右か左かの向きが、上から順に並んでいました。蕎麦屋の名前も、水族館の名前も、いちばん下に書いてあります。
「前の日に、1回走ってる」
「なんで言わないの」
「言うほどのことじゃないと思ってた」
夫はそこで少し間を置いて、続けました。
「調べてから来てよって、言われたことがあって」
「渋滞に入って、着いたころには閉まってた」
「そんなこと、言った?」
私には、その記憶がありませんでした。
そして...
私は彼に、その一言について謝りました。運転してもらっているのは私なのに、生意気なことを言ってしまったと思います。
あの紙は、今は私の手帳に挟んであります。折り目のところだけ色が薄くなっていて、同じところで繰り返し折られてきたのだとわかります。次に出かける先は、私が調べて書き足しました。
(30代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)


























