
用件を書かずに1通だけ送り、返事を止めていた間、恋人の家族に頭を下げて頼み事をしていました
コラム
折り返した通話を10秒で切ったのは、これ以上話せば当日まで黙っていられないと思ったからです。準備していたのは、休みの1日と、小さな箱でした。
打ちかけた文面を全部消して、代わりに短い1通だけを送りました。返事はすぐに来たのに、俺はそれ以上打てないまま画面を伏せました。何をどこまで話すのか、自分の中で決まっていなかったからです。
先に頼まなければいけない相手がいました
付き合って3年になる彼女とは、毎日メッセージのやりとりを続けていました。その日の俺は、彼女の母親に電話をかけていました。休みの日に妹さんと一緒に来てもらえないか、店の名前まで伝えて頼み込んだところでした。折り返しで了承の連絡が入り、日にちが決まりました。
彼女に送る文面は、休みを空けておいてほしいことから書き始めました。けれど読み返すと、理由の手前で止まっていて不自然です。全部消して、その勢いのまま送ってしまったのが、「話があるから電話していい?」の1通でした。普段は通話をほとんど使わない俺にとって、電話をかけたいと書くだけでも思い切りが必要でした。
返事を書けないまま、スマホを裏返しました
「いいよ、今からでも大丈夫」
返信はすぐに届きました。ところが、そこから先に進めません。今かければ、彼女は必ず用件を聞いてきます。俺は隠し事が下手で、聞かれれば順番を飛ばして話してしまう気がしていました。伝えることを一度整理してからにしようと決めて、画面を伏せました。かけ直すのは翌日でいいと思っていました。
翌日、未読のままの2通が残っているのに気づきました。「まだ起きてる?」と、「何かあった?」です。返信のない画面を彼女が何度開いたのか、そのときの俺は考えていませんでした。




























