
宿を取り忘れた俺が送った、同じ謝り方の28回目。書けと言われて、はじめて数えたこと
コラム
宿の話から先へ進まないまま、書き出しては消すことを繰り返していました。やりとりを上へたどっていくと、続いていたのは同じ文字の並びばかりです。
入力欄に文字を入れると、続きが変換の先頭に出てきました。選んで押すだけで送れる形になっていたのは、喧嘩のたびに使ってきた文面です。宿を取っていなかったことを責められて、俺はそれをそのまま送りました。
宿を押さえると言ったのは俺です
連休の行き先を決めたのは俺で、宿は自分が押さえると言いました。休みを合わせて取ったのは彼女のほうです。空きを調べたところで止めて、そのまま忘れていました。出発の前の日に予約番号を送ってほしいと頼まれたときには、取っていないと分かっていました。それでも予約の画面は開きませんでした。開けば取っていないと確かめることになるので、そのまま寝ただけです。頼まれた文には既読だけをつけて、返事は翌日へ回しました。
笑をつけると、それ以上は返ってこない
翌日に「宿、取れてなかった。ごめん」と送り、「いつ分かったの?」と聞き返されて、俺は「はいはい、ごめんごめん笑」を送りました。この文面を送ると、たいていの喧嘩はそこで止まります。言い返されることもなければ、何が悪かったのかを説明させられることもありません。言い合いになりかけたら笑って流すのは、家でも友人の間でも通ってきたやり方でした。通ってきたぶん、相手が黙るのは納得したからだと都合よく数えていたのだと思います。謝っているように見えて、あれは話を先へ進ませないための道具でした。彼女のためではなく、自分が面倒から抜けるために使っていたものです。
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同じ文字の並びを数えました



























