
「悔しくないわけがないだろ」と言い張った俺は、息子の話を最後まで聞いていませんでした
コラム
聞いていなかった側
台所で妻に、
「本人、そんなに気にしてないんじゃない?」
と言われ、俺は返しました。
「悔しくないわけがないだろ」
「悔しがらせたいのは、あなたのほうでしょう」
腹が立って、流しの前で背中を向けました。
そこへ帰ってきた息子が、ランドセルからプリントを出しました。
「ぼく、選ばれなかったんじゃないよ」
ゴール係の欄を指さして続けます。
「リレーは出ないって先生に言って、テープを持つ係にしてもらったの」
公園で何度も言いかけていたのは、これだったのだと分かりました。
俺は椅子を引き、息子の隣に座り直しました。
そして...
運動会の日、息子はゴールテープの端を持っていました。
「テープのところにいると、ゴールの顔が全部見えるんだよ」
帰り道でそう話す息子に、俺は言いました。
「それもいいな」
自分ならリレーに出るほうがうれしい。だから息子も同じだと、勝手に思っていました。
それから登校前に走らせることはやめました。
休日に公園へ行くときは、俺から先に聞いています。
「今日は何する?」
息子がボールを選んだ日は、それを持って2人で家を出ます。
(30代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)




























