彼女の化粧が濃くなるたび、俺が言えずにいたこと

コラム

「これで満足?」に、俺が返した言葉

定食屋で向かい合うと、彼女は箸袋を折りながら聞いてきました。

「これで満足?」

俺は箸を置きました。

「満足とかじゃないよ」

「俺、この顔のほうがずっと好きだよ」

「私のメイクは、私のためにしてるの」

彼女の声が、隣の席まで届くくらいに大きくなりました。伝えたかったのは、別のことでした。

「わかってる。でも、鏡の前にいるときの顔が、最近ずっとしんどそうだったから」

彼女は箸袋を置いて、しばらく俺を見ていました。

そして...

化粧を濃くするなとも、やめてほしいとも思っていません。ただ、鏡の前で目元を押さえる彼女を、もう見たくなかっただけです。あの日から、待ち合わせで見つけたときは、化粧の濃さより先に、彼女が笑っているかを見るようになりました。それを本人には、まだ言えていません。

(20代男性・営業職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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