
「最近、返事短くてごめんね」電波の届かないキャンプ場で、母に宛てて打ち続けた60件のメッセージ
コラム
山を下りて鳴りやまなかった通知
山道を下る途中で電波表示が戻ると、送信待ちだった60件が次々に送られていきました。入れ違いに、スマホが何度も振動します。
母からでした。
「ちゃんと食べてる?」から始まり、「お願い、一言だけ返して」。そして、「これ以上連絡がつかなかったら、大学に連絡するね」。
送った60件をさかのぼると、最初にあったのは出発前の予定のメッセージでした。あの連絡は、届いていなかったのです。母は、私がキャンプに行ったことも知らないまま、2日間待っていたのでした。
そして...
慌てて「ごめん、今山を下りて電波戻った。行く前のメッセージ、送れてなかったみたい」と送りました。
すぐに既読がつき、母から返事が届きました。
「よかった。全部ゆっくり読むね」
その言葉で、あの60件をこれから母が読むのだと気づきました。カレーのことも、星空の写真も、「最近、返事短くてごめんね」と書いたことも。母がどんな顔で読むのか想像すると、少し恥ずかしくなりました。
今でも母から「ちゃんと食べてる?」と届けば、「うん」と返すことがほとんどです。でも、たまに写真を添えて、その日の出来事を送るようになりました。
あの60件に何が書いてあったか、母から改めて聞かれたことはありません。それでも、次に実家へ帰ったら、キャンプで食べたカレーの話をしようと思っています。
(20代女性・大学生)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)






























