
友達の前で「こいつ料理下手でさ」と笑った彼氏→帰り際の玄関で、その友達が私にだけ伝えた一言
コラム
玄関で聞いた小さな声
友達が帰ると言い出したのは、大皿がすっかり空になった頃です。玄関で靴を履きながら「あ、充電器忘れた」と言う友達に、彼は「取ってくる」と返して部屋の奥へ戻っていきました。
靴ひもを結び終えた友達が、顔を上げてこちらを見ました。
「あいつ、会社で毎回彼女さんの卵焼き自慢してますよ」
小さな声でそう言うと、友達は何事もなかったように前を向きました。充電器を手に彼が戻ってきたのは、そのすぐあとです。友達は「ごちそうさまでした」と頭を下げて帰っていきました。
彼は黙って流しに立ち、皿を洗い始めました。先に入った湯船の中で友達の言葉を何度もなぞっても、食卓で笑った彼の顔とはうまく重なりませんでした。お風呂から上がると、彼はソファでスマホを見ていました。その横を通り過ぎて、私は寝室のドアを閉めたのです。
そして...
翌朝も、いつもどおり卵焼きを焼きました。端の崩れたそれを詰めたのは、弁当箱のいちばん目立つ場所です。
玄関で弁当を渡すとき、「人前で下手って言われるのは、嫌だった」と伝えました。彼は弁当箱を両手で受け取り、「ごめん。言い方、間違えた」とだけ言って出ていきました。
閉まったドアの前に残ったのは、友達のあの言葉でした。会社で自慢してくれているのなら、どうして私の前では、あんなふうに笑ったのでしょうか。
(20代女性・事務職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)






























