
「財布、パンパンだよ」レジで夫を注意した私→その夜、財布の一番奥から出てきた四つ折りの紙
コラム
クレヨンで描かれた顔
開いた紙は、画用紙の切れ端でした。端はぎざぎざで、手のひらに収まるほどの大きさしかありません。真ん中に、肌色のクレヨンで塗られた丸い顔。黒い線のメガネと、大きく笑った口。その下に、覚えたてのひらがなで「ぱぱ」と書いてありました。
夫の顔で、娘の字でした。
娘は、描いた絵を必ず私に見せに来ます。冷蔵庫に貼ったり、ファイルにしまったりしてきたのに、この絵は見た覚えがありませんでした。
「これ、何?」
夫は私の手から、そっとその紙を取りました。
「それだけは、捨てないで」
それきり夫は何も言わず、紙を元のように折りたたんで、カード入れの奥へ。食卓のレシートの山はそのままに、財布だけを持って寝室へ行ってしまいました。
そして...
次の休日、同じスーパーのレジで、夫は薄くなった財布を取り出しました。レシートは1枚も残っていません。カード入れの奥に、あの紙の折り目が見えた気がしました。
だらしないと言ったことを、取り消すつもりはありません。ただ、夫はまだ何も話してくれません。娘の絵を、なぜ私の知らないところで、あんな形で持ち歩いているのか。あの紙が破れたのはいつで、誰が破ったのでしょうか。
(30代女性・事務職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)






























