妻に財布を片付けろと言われた俺が、娘の似顔絵の切れ端だけは捨てられなかった理由

コラム

妻の手の中で開かれた紙

娘を寝かしつけた妻が、リビングに戻ってきました。俺はソファでスマホを見ていて、財布はテーブルの端に置いたままでした。

「財布くらい片付けてよ。だらしないよ」

妻は返事を待たずに財布を手に取り、レシートを次々に引き抜いていきました。

「いいよ、自分でやるって」

立ち上がったときには、妻の指がカード入れの奥に届いていました。折りたたんだ紙が、妻の手の中で開かれていきました。

「これ、何?」

妻の手から、そっとその紙を取りました。

「それだけは、捨てないで」

説明すれば、あの日のことを話すことになります。紙を折りたたんでカード入れに戻し、財布だけを持って寝室へ逃げました。

そして...

次の休日までに、レシートはすべて捨てました。カード入れの奥には、あの切れ端だけを残しています。

その休日、スーパーから帰ったあと、娘に「パパの顔、また描いてくれる?」と聞きました。娘は「いいよ。メガネも描くね」と言って、クレヨンの箱を持ってきました。あの日のことは、覚えていないようでした。

新しい似顔絵は、冷蔵庫に貼ってあります。妻はあれから、切れ端のことを何も聞いてきません。俺も、まだ話せずにいます。

(30代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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