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「なぜ彼のことが好きかわからないけど好き」が一番強い

コラム

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ひとみしょう


彼のどういうところが好きなのか、うまく言葉にできる人もいれば、できない人もいると思います。うまく言葉にできない、つまり「彼のことは好きだけど、なぜそこまで好きなのかじぶんでもうまく説明できない」という恋が、ホントは最強では?

■「かっこいい」は、それを上回るかっこよさに勝てない?

彼が彼女にされてイヤなことのひとつに「わたしのどこが好きか言ってみてよ」という質問があるらしいです。


どこが好きなのか……ルックスがじぶんの好みとか、性格がやさしいとか……男子って一般的に、女子に比べて言語能力が低いとされているので、ありきたりな答えしか浮かばず、結局、彼女が機嫌を悪くしてしまう、というようなパターン。


どこが好きなのか、うまく言葉にできない彼を前に「やっぱり、あなたはわたしのことがそこまで好きじゃないのね」と言う彼女がいたり、言わずとも内心、「彼はわたしのことをあまり見ていないのかな、わたしは彼のことをよく観察しているから、彼の好きなところを10個でも20個でも言える」と思う彼女がいたり。


好きの理由をめぐって、カップルで押し問答をしたことのある人もいるでしょう。


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物事って、本当は理由がないけど好き、というのが最強だったりします。理由、たとえば「彼はかっこいいから好き」というのは、彼よりさらにかっこいい男子が現れたらおしまいです。


「優しい」もおなじでしょ?彼は優しいから好き、こう感じている彼女も大勢いるはずですが、彼の優しさを上回る優しさを持っている男子って、世の中にはたくさんいるはずです。


だからそういう人に出会ってしまえば、彼の優しさがかすんで見えて、彼氏を乗り換えるという彼女もいるのでは?

■理由に追いつかれないようにすること


理由があるということは、それを上回る理由がかならずほかにあるから、比較の対象がないもののほうが強いでしょ?ということです。


だから「理由はわからないけど、彼のことが好き」あるいは「理由はわからないけど、彼女のことが好き」これがもっともいい状態なのでは?


さらに言えば、世の中のうまくいっているカップルって、「理由がわからないこと」を延々と探し続けているのかもしれません。


彼氏に飽きたことがないとか、彼女に飽きたことがない、と言っている人にまれに会いますが、そういう人たちって、「理由がないことを、無意識にではあっても探している」のかもしれない。


理由がわかったらツマラナイってこと、ありますよね?たとえばゲームだって、こうすれば攻略できる、つまり攻略できない理由がわかった時点で「クリアした」と思えるときってありますよね。


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恋もそういうのに似ているのかもしれない。恋も、というか、わたしたちが他者に理解を示すことも、それに似ているのかもしれません。


もちろん、相手のことが100%わかった状態なんて、ホントは存在しないから、ホントはどんなカップルも相手に飽きることはないはずなんです。でもわたしたちはたとえば毎日忙しいからつい、相手のことがわかったつもりになるし、攻略したつもりになったりしますよね。


理由がわからない「好き」をいくつも持つこと、理由に追いつかれないようにすること。こういうことって、愛にとってすごく大切なことだと思いませんか?(ひとみしょう/文筆家)


(ハウコレ編集部)

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