
「感想を聞かせてください」。中古の本に挟まっていた紙に、私が3年後送信したメール
ライフスタイル
返事は次の日に届きました。書かれていたのは感想への答えではなく、1つの問いでした。前の持ち主が本を手放した理由を、私はそこではじめて知りました。
古本屋の棚から抜いた文庫本は、開くと同じところで止まりました。120ページの間に、白い紙が1枚挟まっていたのです。鉛筆で書かれた1行の下には、メールアドレスが添えてありました。私がそこへ連絡したのは、買ってから3年たった日のことです。
紙の1行を、3年はさんだまま
1行は「感想を聞かせてください」でした。文字は薄く、消しゴムをかけた跡が下に残っていました。前の持ち主のものだと分かる書き込みは、その紙のほかにありません。背は角が丸くなるまで開かれていて、私はこの本を読み込んだ人が、話す相手を探しているのだと思いました。読み終えた日に返事を打ちかけて、消しました。知らない人へ送るには、自分の感想が薄すぎる気がしたからです。紙は、そのページに挟んだまま栞にしました。
3度読んで、3度書き直した
翌年、同じ本をもう一度開きました。前とは違う章に付箋を貼りたくなり、感想が変わっていることに気づきました。その次の年も読み、下書きはそのたびに長くなりました。3年目の終わりにようやく、メールを打ち込みました。書き出しは「3年前に古本で買った本に挟まっていた紙を見て、連絡しています」。最後の章の話まで書くと、何度スクロールしても一番下に着かない長さになりました。送信の後、なにも音沙汰ないまま、その日は終わりました。
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返事は、感想への答えではなく


























