
彼女の相談だけ、俺はいつも答えを後回しにしていた
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普段受けている相談事には、なんでも明るく返してきました。でも、付き合っている彼女から届いた留学の相談にだけは、その一言がどうしても書けなかったのです。理由を言えないまま会い続けた俺は、ある日とうとう彼女のほうから、保留のことを聞かれてしまいました。
誰にでも返せるのに、その人にだけ
同僚や友達からの相談には、スラスラと言葉が出てきます。とりあえず思いきって行ってみなよ、やってみたら見える景色もあるよ。正解じゃなくても、相手が前に進める一言を返せばいい。そう思ってやってきました。
彼女にも、これまではそうしてきたつもりです。バイトの愚痴も、友達のもめごとも、明るく返せば彼女はほっとした顔をしてくれました。
それなのに、今回の相談だけは、何度も書いては消してを繰り返して、返事を返せませんでした。彼女から届いていたのは、「前から考えてた一年間の留学、思いきって行こうか迷ってる」という一文でした。
背中を押す返事だけが、書けなかった
一年離れた場所で暮らす彼女を想像するたびに、入力欄の文字を打ち直して、結局ぜんぶ消していました。応援したい気持ちと、行かないでほしい気持ちが、どうしてもひとつにまとまらなかったのです。
彼女はきっと、いつもみたいに俺が笑って「行ってきなよ」と返してくれると思っていたはずです。それがわかっていたから、なおさら適当な返事ができませんでした。
答えを出せないまま、俺は彼女の相談を「相談 保留メモ」というメモアプリに書きとめておきました。彼女の名前と、最後に届いた一文だけを残して、あとで返すと自分に言い訳をしながら、ずっと開いたままにしていたのです。
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見せるつもりのなかったメモ
























