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「あんたに会社は継がせない」と弟だけを後継者にした父→会社が傾いた時、助けに来たのは私だった

コラム

小さな町工場で育ちました。父の背中を追いかけて、いつか一緒に働くのだと信じていた私に、父が告げた言葉は予想もしないものでした。 

工場が好きだった

子どもの頃から、学校帰りに父の工場へ寄るのが日課でした。油のにおいと機械の音。職人さんたちが真剣な顔で金属を削る姿が好きで、高校生の頃には簡単な事務作業も手伝っていました。 

大学では経営学を選びました。卒業したら会社に入ると伝えたとき、父は作業の手を止めずにこう言ったのです。「あんたに会社は継がせない」。振り向きもしませんでした。何かの冗談だと思いたくて、笑い声を出そうとしましたが、喉の奥がつかえて声になりませんでした。

選ばれなかった私

「なんで? 私だってずっと手伝ってきたのに」。声が震えていたと思います。父は短くこう返しました。「弟に継がせる。お前は好きに生きろ」。弟は当時まだ大学1年生で、工場に関心がある様子もありませんでした。それなのに、なぜ。

悔しくて涙がこぼれましたが、父はそれ以上何も言いませんでした。好きに生きろという言葉が、突き放しにしか聞こえなかったのです。私は別の会社に就職し、実家とは距離を置くようになりました。

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