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孫の絵を「下手だね」と言えた俺は、自分も絵を捨てた人間だった

コラム

美術展の会場で

息子から美術展の日程を聞き、一人で会場に向かいました。嫁や孫には顔を合わせづらくて、少し離れた場所から展示を眺めていました。 

審査員が孫の絵の前で足を止めました。隣の先生に「この色の使い方、とても豊かですね」と話す声が聞こえてきました。色の豊かさ。俺があの絵を見たとき、一度も目を向けなかったものです。

そして...

会場を出て、駐車場でしばらく動けませんでした。「下手だね」と言ったあの日、俺は技術しか見ていなかった。5歳の子が家族の絵を描いて、一番に見せに来てくれた。その気持ちには、目を向けることすらしなかったのです。 

40年前、俺も絵を見てほしかっただけでした。「才能がない」のひと言で筆を折られた痛みを、誰より知っていたはずなのに、同じことを孫にしていた。押し入れの箱を開けられない理由が、今ならわかります。あの中にあるのは水彩画じゃない。誰かに「いいね」と言ってほしかった、子どもの頃の俺です。

(40代男性・会社員)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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