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中2の娘に「どうせつまらない仕事でしょ」と笑われた俺→職場見学後の車内で聞こえた小さな声

コラム

ハンドルを握ったまま

帰り道、娘を助手席に乗せて運転していました。娘はずっと窓の外を見ていて、話しかけようとしても、何を言えばいいか分かりませんでした。 信号で停まったとき、勇気を出して「疲れたか?」と聞いてみました。返ってきたのは「ううん」だけでしたが、嫌そうな声ではなかったので、それで十分な気がしました。 家まであと数分というところで、娘の声が聞こえました。「お父さん、かっこよかった」。本当に小さな声で、聞き間違いかと思ったほどでした。何か返したかったけれど、声を出すと何かが揺れてしまいそうで、ハンドルを握り直して、前を見たまま少しだけ間を置きました。

そして...

翌朝、娘が学校に行ったあと、妻が「日記、机に置きっぱなしだったよ」と苦笑しながら教えてくれました。妻は「これ、お父さんに見てもらいたくて置いたんじゃないの」と笑って、机の上の日記を指差しました。 開いていた日記には、昨日のことが丁寧な字で書かれていました。一番最後の行に、こうありました。「将来はお父さんみたいに働きたい」。それを読んだまま、しばらく立ち尽くしていました。 あれから15年、娘も社会人になりました。あの日、俺は娘の前で何かを証明しようとしていたのかもしれません。けれど振り返ると、本当は俺の方が、娘に大切なものをもらった日でした。

(60代男性・元営業職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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