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「借りたお金、もう時効だよね」と冗談で言った夜、友人がそっと差し出したスマホに自分の文字が並んでいた

コラム

自分の指で打った言葉

彼女がスマホの画面を私の方に向けました。「3年前、こんなメッセージくれたよね」。画面に表示されていたのは、3年前に私が彼女へ送った「来年こそ返すから、もう少しだけ待って」というメッセージでした。覚えはありました。あの頃は確かに返すつもりで、仕事で大きな案件が決まりかけていたのです。それが入ったらまとめて返そうと思っていました。けれど結局その案件は流れ、私はまた彼女に「待って」と書いた事実すら、いつの間にか忘れていました。「これ、債務の承認っていうらしいよ。時効はリセットされるんだって」。彼女の声は穏やかでしたが、責められているのとは違う重みがありました。私は「……ごめん」と短く口にして、視線をテーブルに落としました。

そして...

結局その日、私は「毎月少しずつ返したい」と自分から申し出ました。彼女は淡々と返済方法を確認し、二人で文面にして残しました。帰りの電車の中、流れていく景色を眺めながら、3年前の自分が書いた「来年こそ返すから」を何度も思い返しました。あの頃の私は、確かに返すつもりだった。それなのに、いつから私は「時効」という言葉に逃げ道を見出すようになっていたのか、自分でもうまく説明できません。お金を借りる重さを、私は時間とともに軽くしていったのだと思います。彼女が3年前のメッセージを残してくれていたのは、責めるためではなく、あの頃の私を覚えていてくれたからかもしれません。分割でも、私は最後まで返します。それが、貸してくれた人への、せめてもの誠意だと思っています。

(30代女性・フリーランス)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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