
志望校を下げるよう諭した教え子が、難関大の合格通知を持ってきた日
コラム
合格通知を握りしめて
合格発表の翌日でした。職員室の入口に彼女の姿が見えたとき、私は半ば反射的に「報告か?」と尋ねました。彼女は合格通知を私に差し出しました。第一志望、国立の難関大学。私は紙面と彼女の顔を何度も見比べました。受験番号の上にある「合格」の表示を、何度確認しても消えませんでした。私は紙を持ったまま、しばらく彼女の顔を見つめていました。
そして...
私は教師として、これまで多くの生徒に「現実的な選択」を勧めてきました。それは経験から導いた助言で、何人かの生徒を救ってきたとも思います。けれどあの日、合格通知を握りしめて立っていた彼女の前で、私はその経験則の重さを初めて疑いました。私が「不利だ」と告げたからこそ、彼女は意地でも引かなかったのかもしれません。「君を信じきれなかった先生で、申し訳なかった」。深く頭を下げる私に、彼女は穏やかにうなずいてくれました。
あれから私は、生徒に現実を伝えるとき、必ず「それでも挑戦したい気持ちがあるなら、私は応援する」と添えるようになりました。
(40代男性・高校教諭)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)

























