
「家庭菜園なんて買ったほうが安い」と呆れる夫→収穫した日に夫が黙り込んだ理由
コラム
「トマトさん赤くなった!」
2か月が過ぎた朝のこと。娘が「ママ、トマトさん赤くなった!」とベランダから大きな声を上げました。プランターには、ぷっくりと赤く色づいた小さな実がひとつ実っていたのです。
私が娘と一緒に収穫すると、娘はそのトマトを丸ごと口に運びました。普段はトマトを見ただけで顔をしかめる娘が、ほおをふくらませて「ママ、おいしいー!」と笑ったのです。
リビングから出てきていた夫は、その光景を見たまま動きませんでした。「コスパが悪い」と笑っていたあの声は、もう聞こえてきません。夫はじっと娘を見つめて、何度かまばたきを繰り返していました。
そして...
夫が何を考えていたのか、その日は教えてくれませんでした。けれど次の週末、夫はホームセンターから袋を抱えて帰ってきたのです。中身は、きゅうりの苗でした。
「次は俺が育てる」それだけ言って、夫はベランダにしゃがみ込み、土を触り始めました。
後ろから娘が「パパも一緒だね」と笑い、私は黙ってじょうろを差し出しました。慣れない手つきで苗を植える夫の背中は、いつもより小さく見えました。
家庭菜園は確かに、スーパーで買えば数百円で済む話なのかもしれません。それでも、娘の「おいしい」と、夫がしゃがみ込んだ背中は金額では測れない何かを、わが家にゆっくりと育てているように見えました。
(30代女性・主婦)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)



























