
「先生、もう辞めたいです」と泣いた新任教師→ベテラン教師が渡した一枚の紙
コラム
紙に書かれていた一文
「これ、お守りに」先輩はそう言って、その紙を私の机の上にそっと置きました。広げると、少し黄ばんだ紙に、丁寧な手書きの文字でこう書かれていたのです。
「今日あなたが直した一文を、その子は10年後も覚えています。だから、続けてください」
たったそれだけの言葉でした。けれど、その文字を目で追っているうちに、今日私が赤ペンで直した文章のことが頭に浮かびました。意味の通らない一文を、書き直した答案。あれはもしかしたら、届いていたのかもしれません。
先輩は何も言わずに、自分の鞄を持って職員室を出ていきました。残された私は、その紙を何度も何度も読み返したのです。
そして...
翌朝、私はその紙を胸ポケットに入れて学校へ向かいました。教室に入って「おはよう」と声をかけると、返事はいつも通りまばらで、相変わらず私の名前を覚えていない生徒もいました。
それでも、授業を始める前に深呼吸ができたのです。今日の私が直す一文は、もしかしたらこの中の誰かに残るのかもしれない。そう思えるだけで、立っていられました。
辞めたい気持ちがすぐに消えたわけではありません。けれど、あの紙はいまも私の机の引き出しに入っていて、苦しい日には、そっと開いて読み返しています。教師を続けていこうと、何度でも思える私の支えになっているのです。
(20代女性・教師)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)




























