
ホームに入ると決めたのは私だ。娘にも親戚にも言えない本心を、職員にだけ打ち明けてきた
コラム
私は70代の元会社員で、半年前から老人ホームで暮らしています。長年一人で過ごしてきた家を離れて、新しい場所を自分で選びました。娘には「自分で決めたい」と話しましたが、その奥には伝えていない本当の理由があったのです。
一人の家で気づいた、もう一つの思い
正直に言えば、家での暮らしは何の不自由もありませんでした。買い物も洗濯も自分でできましたし、近所付き合いもありました。けれど、ふと夜にカレンダーを見たときに気づいたのです。娘が私の家に来てくれる日に、必ず印がついていることに。
仕事を持ち、自分の家族のいる娘が、月に何度も遠くから訪ねてくれる。そのために有給を使い、夫の予定を調整し、疲れた顔で台所に立ってくれる。「ありがたい」と思う気持ちと、「申し訳ない」という気持ちが、年を追うごとに大きくなっていきました。
娘に切り出した「自分の希望」
ある夏の日、私はリビングで麦茶を飲みながらぽつりと切り出しました。「ホームに入ろうと思うんだ。自分で選んで、自分で決めたい」。
娘は何度も「本当に?無理しなくていいんだよ」と確認しました。私は穏やかな顔で「無理してないよ。これが俺の希望だ」と答えました。
嘘ではありません。けれど、すべてを話したわけでもありません。「娘に縛られてほしくない」という気持ちは、本人を前にすると、なぜか口に出せませんでした。
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職員にだけこぼしたひとこと


























