
「一人で行ったんだ」と答えた僕が、本当は伝えられずにいた一人の時間のこと
コラム
一人になりたい、とは言い出せませんでした。彼女が好きだからこそ、一人で過ごしたい気持ちを、どこか後ろめたく感じていたのです。その小さな隠しごとが、彼女をあんなに不安にさせていたなんて。きっかけは、僕が何気なく送った、一枚の写真でした。
紛れ込んだ一枚
水族館で撮った写真は、どれもよく撮れていました。お揃いのキーホルダーを並べた一枚は、彼女もきっと気に入ってくれると思ったのです。僕はスマホの中の写真をまとめて選び、共有のリンクにして送りました。
あとから思えば、その中に、一人で行った先で撮った一枚も、いっしょに選んでしまっていたのです。白い壁に掲げられた、写真展の看板の写真でした。ふと目に留まって撮っただけの、なんでもない一枚だったのです。
一人で出かけた理由
付き合う前から、僕は時々一人で写真展や美術館をまわるのが好きでした。誰かと予定を合わせるのではなく、自分のペースで作品の前に立つ時間が、頭の中を整えてくれていたのです。彼女と過ごす時間はもちろん楽しい。それでも、一人になりたいと思う自分がいることを、うまく言葉にできずにいました。
好きな人がいるのに一人の時間を求めるなんて、薄情なのではないか。そんな思いから、あの展示に行ったことも、彼女には伝えていなかったのです。
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「一人で行ったんだ」と答えて


























