
彼女が大好きな映画のチケットを一枚だけ買った僕の、言えなかった理由
コラム
僕は以前、彼女が大好きと言っていた映画を一緒に観た時内容についていけず台無しにしてしまったことがあります。同じ過ちだけは繰り返したくない。その一心で取った一枚のチケットを、僕はどうしても、彼女にうまく説明できなかったのです。
予約画面の枚数の欄を、僕は何度も見つめていました。迷った末に選んだのは、二枚ではなく一枚。彼女がずっと好きだった、あの映画の先行上映のチケットです。一緒に観たくなかったわけでは、決してないのです。
うまく言えなかった一枚
彼女がずっと好きだという、あの映画。学生の頃から何度も話を聞かされてきました。正直に言えば、僕にはその面白さがよくわからないまま、ここまで来てしまったのです。だからこそ、もうすぐ公開されると知ったとき、僕は迷っていました。何も知らないまま一緒に観て、また彼女をがっかりさせてしまうのではないか。そんな不安が頭を離れませんでした。考えた末に、僕は先行上映のチケットを一枚だけ取りました。一緒に観る前に、ひとりで予習をしておこうと思ったのです。
『今は聞かないでほしい』と言った理由
予習のことを切り出せずにいたとき、彼女のほうから尋ねてきました。「ずっと楽しみにしてたあの映画、チケットもう取ったの?」。隠すのも違う気がして、僕は正直に答えました。「うん、取った。一枚だけ」。その瞬間の彼女の顔は、今でも忘れられません。「一枚だけ?私の分は?」と聞かれて、僕は彼女から目をそらしてしまいました。ひとりで予習するつもりだなんて、子供じみていて格好悪い。そう思うと打ち明けられず、「ごめん。今は聞かないでほしい」とだけ返してしまったのです。
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本当は二枚、取ってあった

























