
雨の日の満員電車。折りたたみ傘をしまわなかった女性が次の駅で降りた理由
コラム
つり革につかまると、目の前にいた女性の肘にかけた折りたたみ傘から、雫がぽたぽたと落ちているのが見えました。雨で濡れた車内は、傘を持つ人で身動きが取れないほどの混みようです。誰か濡れてしまうのでは、と気になりながらも、私は声をかけそびれていたのです。
落ちる雫と、こちらを向いた視線
その女性は、たたまずに濡れたままの折りたたみ傘を肘にかけ、つり革をつかんでいました。イヤホンをつけて、うつむいたまま、周りのことはまるで気にしていない様子です。
傘の先からは、一定の間隔で雫が落ち続けています。私はどうにか伝えられないかと、傘のほうへ何度も視線を向けてみました。
けれど女性は、こちらをちらりと見ると、「なんですか」と言って再びうつむいてしまいました。私は睨まれたように感じて、そのまま口をつぐんでしまいました。
前の席で上がった泣き声
雫が落ちていた先には、座席に座る小さな男の子がいました。お母さんに寄り添って座っていた男の子の頭に、傘からの雫がぽつりと落ちます。
「つめたい」
その声と同時に、ぐずるような泣き声が車内に広がりました。お母さんはあわてた様子で、ハンカチを取り出して男の子の髪をそっと拭いています。その光景に気づいた周りの大人たちの視線が、傘を持つ女性へと集まっていきました。
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次の駅で降りていった背中
























