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彼との共有メモに『先に謝ること』とだけ書かれていた。誰に何を謝るのか分からず不安が募った話

コラム

謝るって、誰に。何を。問いただすこともできないまま、私はその一行を見なかったことにできずにいました。やがて彼の口から出たのは、私が身構えていたのとは違う一言でした。

冷蔵庫の中身を思い浮かべながら、私は彼と使っている共有メモを開きました。牛乳と卵を書き足そうとしたとき、買い物のリストに見覚えのない一行が増えていることに気づいたのです。そこには『先に謝ること』とだけ、ぽつんと残されていました。

買い物リストに増えた一行

彼とは付き合って二年になります。共有メモには、買い足すものや出かける予定を、どちらからともなく書き込むのが習慣でした。だからその日も、いつものように指を滑らせていただけだったのです。けれど、リストのいちばん下に、買い物とは関係のない一行が紛れていました。『先に謝ること』。私が書いた覚えはありません。となれば、書いたのは彼しかいませんでした。

問いただせなかった理由

謝る、という言葉が頭から離れませんでした。誰に、何を謝るつもりなのか。私に隠していることがあるのかもしれない。別れを切り出すつもりで、その前置きを書いたのかもしれない。思い返せば、少し前に小さな言い合いをしたばかりでした。私が「最近、ちょっとよそよそしいよね」と口にすると、彼は何も言わず黙り込んでしまったのです。気まずさに耐えきれず、結局あとから「さっきは言い過ぎた。ごめん」と送ったのは私のほうでした。あの一行が、その続きなのかどうか。彼のメモを盗み見たようで、自分から切り出す勇気が持てずにいました。

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