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彼女に「捨てた?」と聞かれて初めて気づいた→俺が黙って空けていた、もう一方の扉のこと

コラム

彼女があんなに不安そうな顔で訪ねてくるとは、思ってもいませんでした。

服を一着ずつ外して床に積み上げながら、俺はクローゼットの中をいったん空っぽにしました。前から考えていたことを、ようやく形にしようと思いました。古いハンガーを新しいものに替えていく作業を、途中で一度だけ止めました。端に掛かっていた、彼女の一本に触れたときでした。

ひと区切りの片づけ

彼女が泊まりに来るたび、毎回かばんに荷物を詰めて帰っていくのが、俺はずっと気になっていたのです。少しでいいから、ここに置いていけたらいいのにと思っていました。

それならまず場所を作らなければと、腰を上げてクローゼットを片づけ始めました。バラバラだったハンガーを揃いのものに買い替えれば、見栄えもいい。半分はきれいに空けて、残りに自分の服をかけ直すつもりでした。

写真を送ったわけ

片づけの途中で外した彼女の木のハンガーは、揃いの新しいものに紛れて捨てないよう、いったん脇によけておきました。半分ほど服をかけ直したところで、思っていたよりきれいに収まったのがうれしくて、整いはじめたクローゼットを一枚だけ撮りました。

空けたスペースはまだ見せたくなくて、画面の端で切れるように写し、深くは考えずに「模様替えしてみた」と送りました。返ってきたのは、いつもより素っ気ない一言だけでした。

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