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みんなが書いてくれた誕生日の冊子で、彼のページだけ白紙に近かった話

コラム

テーブルの上で表紙を開くと、見開きいっぱいに手書きの文字が並んでいました。誕生日にと、まわりの人たちが寄せてくれた言葉を、一冊にまとめたものです。色とりどりのペンの跡を、私は一枚ずつたどっていきました。ただ、最後の一枚をめくったとき、その流れがふっと途切れたのです。

旅行のことも、失敗談も、書いてあった

学生時代の友人は、二人で行った旅行の写真の話まで書き込んでいました。職場の先輩のページには、私が新人だったころの失敗が、笑い話として並んでいます。妹はわざわざ便箋を貼りつけて、字が小さくなるほど書いてくれていました。一枚めくるごとに、自分が忘れていた気持ちに触れるようで、表紙を持つ指に力が入りました。

彼のところだけ、白いままだった

最後に残っていたのが、付き合って三年になる彼のページでした。めくると、広い余白の真ん中に、一行だけ。「言葉にするの、苦手でごめん」。それだけでした。さっきまでの賑やかなページのあとでは、その白さがやけに目立ちました。みんなはこんなにも私のことを書いてくれたのに、いちばん近くにいる人は、一行で済ませたのです。

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