
「ごめん、あとで直しておくね」と返した僕が、隠していたドキュメントを彼女に見せた日
カップル
「先に言っておかないと、感じ悪いよ」という姉の忠告を、僕は笑って聞き流していました。閲覧者のままの彼女が何を考えていたのか、気づいたのは、彼女を目の前にしてからです。
ガイドブックに付箋を貼り終えて、僕は共有ノートの招待リンクを彼女に送りました。三年目の記念に、ふたりで旅行へ行く計画です。準備は順調のはずでした。ただ、彼女にまだ話していない手配がひとつ残っていました。
姉にだけ頼んだ予約
行き先は、姉が以前住んでいた海の見える町にしました。記念日の食事に決めた店は、予約が電話のみでした。土地勘のある姉に頼もうと、軽い気持ちで電話したのです。頼みは通り、終わりぎわに姉はあきれた声で言いました。「彼女さんに先に言っておかないと、感じ悪いよ」と。笑って受け流したまま、電話を切りました。それから「記念日旅行」のドキュメントに、候補や持ち物のページを作っていきます。記念日の食事の手配だけは、彼女に内緒で進めたかったので、姉とふたりだけで使う別ドキュメントを作り、その本文にはそのリンクだけを貼り付けました。姉を共有ドキュメントにも招待したのは、土地の情報を直接書き込んでもらうためでした。
偽りの言葉
リンクを送ると、彼女から「ドキュメントのリンク、私からは開けないんだけど」と届きました。「ごめん、あとで直しておくね」と返します。直す気は最初からありませんでした。姉は、店とのやりとりや席の書き込みを残してくれています。編集の履歴は、ひまわりのアイコンで埋まっていきます。ノートには候補や持ち物が増えていくのに、彼女のメッセージから旅行の話題は減っていきました。開けないリンクと、見知らぬ共有者のアイコンが、彼女にどう映っていたか、想像もしませんでした。
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予定より早い種明かし
























