
「名前は、外してください」予約に書いた彼女の名前を、俺が店で消した理由
コラム
名前を外せば、切り出さずに済む
食事の途中、俺は「ちょっと」と席を立ち、入口で店員に「名前は、外してください」と頼みました。名前入りプレートが運ばれてくる、あの流れがなくなれば、俺は同棲の話を切り出さずに済む。確かめるのが怖くて、自分で告白のきっかけを潰しに行ったのです。席に戻った俺は、おしぼりをいじりながら、運ばれてくるはずだったプレートと、その流れで言うはずだった言葉のことを考えていました。
「これで、よかったかな」が精一杯でした
名前のないプレートが運ばれて、彼女の表情がふっと曇ったのがわかりました。喜ばせたかったのに、自分の弱さで台無しにしている。それでも本心は切り出せず、口から出たのは「これで、よかったかな」という確かめのような一言でした。「あのさ、今日は…」とまで言って、その先は飲み込みました。彼女の「ううん、ありがとう」が、いつもより硬く聞こえました。
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そして...
























