
「私の希望なんて削っていいから」自分で消した結婚式の演出候補に、彼の字が重なっていた
コラム
自分で二重線を引いて消したはずの結婚式の演出候補に、彼の字が書き足されていました。私が諦めたものを、彼はもう片づけたつもりなのかもしれない。そう決めつけたまま、私は打ち合わせの日を迎えました。
消したはずの希望
結婚式の準備が始まってから、私たちは共有ノートにやりたいことを書き出していました。ガーデンでの写真撮影、ゲストへの小さなギフト、生演奏での入場。最初は楽しく書いていたのに、見積もりを見たあと、そのページを開くたびに現実の数字が気になるようになりました。
彼は「やりたいことは書いておこう」と言ってくれました。それでも私は、彼に負担をかけている気がして、いくつかの項目に線を引きました。「これはなくてもいいよ」と笑って言ったつもりでしたが、本当は消す前に何度も迷っていました。
数日後、ノートを開くと、私が消した演出候補の上に彼の字がありました。演出内容の調整や費用の見直しについてのメモ、プラン名らしい言葉が並んでいます。私にはそれが、消した希望を彼が現実的に整理し直した跡に見えました。
彼の字で終わった気がした
彼に聞けばよかったのに、そのときの私は聞き方を選べませんでした。打ち合わせに向かう途中も、ノートの文字ばかり思い出していました。彼はいつも通り資料を確認していて、私だけが変な方向に考え込んでいました。
会場の担当者が演出の話を始めたとき、彼がノートを開きました。私が消したはずの項目を指して、「ここも確認したいです」と言った瞬間、私は先に口を挟んでしまいました。「私の希望なんて削っていいから。お金が気になるなら、そう言ってよ」
彼はペンを置きました。怒るでもなく、言い訳をするでもなく、「違うよ」とだけ言いました。その反応で、自分がかなり決めつけた言い方をしたことに気づきました。
次のページへ
諦めたものを戻そうとしていた























