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彼女の写真を一枚消した俺は、代わりに彼女の知らない写真を一枚残した

コラム

よかれと思って写真を一枚消したことが、彼女を不安にさせていました。残しておいた後ろ姿の意味を、もっと早く伝えればよかったのです。

撮りためた一日分の写真の中から、彼女が泣いていた一枚を選んで、俺は削除を押しました。

残したくなかった一枚

彼女と付き合って二年になります。休みに二人で遠出をして、新しいカメラで彼女を何枚も撮りました。楽しい一日のはずが、その途中で、彼女はささいなことで気持ちを崩し、人前で泣いてしまったことがありました。慣れない場所で気を張っていたのだと思います。すぐに落ち着いて、また笑ってくれたのですが、シャッターを切った一枚に、その泣き顔がはっきりと残っていました。

消した写真と、残した写真

家に帰ってから、その一枚だけを消しました。彼女がつらかった時間を、写真の形で残しておきたくなかったからです。代わりに、と言うと変ですが、どうしても消したくない一枚がありました。先を歩く彼女の後ろ姿です。前だけを向いて、軽い足取りで進んでいく姿を見ながら、この人と歩いていきたいと、はっきり思った瞬間でした。一枚消して、一枚を残す。それだけのことに、彼女がどんな意味を見るかまで、考えが回っていませんでした。

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